U邸

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この建物は僕の住宅兼事務所です。敷地は南北に細長い三角形の土地で、南は墓地、西は長良川の堤防に面しています。長良川を建物から直接見える様にする事、それが計画時の最優先項目でした。測量の結果、川を見るためには建物を三階建とし屋上を作る必要が生じました。また、ローコストに抑えるため、出来るだけシンプルにする事も考えました。南の墓地と西の川を、死と西方浄土のイメージにすぐに結びつけるのは短絡的ですが、ここに初めてきた時、この土地に強い力(ゲニウス・ロキ)を感じたのは事実です。こういう力を感じる事は滅多にありません。この力を表現する事も計画上の大きなテーマとなりました。

建物の外観は直方体の塊に1枚の壁が張りついたような形となっています。ここには近代的な箱形のビル(モダニズム)と墓石(死・廃虚)という2つのイメージがダブっています。また、写真からは分かりづらいと思いますが、見る人に曖昧なイメージをわかせる様な、いくつかの仕掛けがしてあります。例えば、西側の壁面は他の面と仕上げを変え、切断面の様にしてあります。これによって建物は完結した形にも、西側へ拡がる大きな形の一部を切り取ったようにも見えます。また、直方体と壁は2つの要素にも、1体にも見える様なつながり方にしてあります。他にも、斜めに傾いた塀やコンクリートの床、頂上に取り付いた沖縄のシーサー等々、全てが建物に曖昧なイメージの衣をまとわせる仕掛けとなっています。内部もまた装飾のない白い壁(漆喰壁)と土色のコンクリートの床(土間)という構成に、モダニズムと和という2つのイメージをダブらせています。
何故か心に引っかかる、そんな雰囲気が漂ってくればと思っています。