木造の天敵 (6)2015.09.29

ホウ酸塩による木材処理は散布と含浸のふたつの方法があるようです。

つまり、木造の骨組みが出来てから散布する方法と、使用する木材に事前にホウ酸を含浸させる(染み込ませる)方法です。ホウ酸は水溶性のため、雨で簡単に流れてしまうそうですので、表面だけでなくある程度中まで含浸させた木材を使った方が当然良い気がします。ただ、細かい木材など全てにそれを使うのは難しそうですので、なかなか悩ましいところです。

しかし、ホウ酸処理は従来の方法とは違い全てに近い木材を処理するのです。そして、従来と違い、その効果は水で流されない限りずっと続くのです。また、人体に無害ですし、金額もそれ程高くなさそうです。「やはり、ホウ酸がベスト。」そう言いたいところです。ただ、ネット上で色々と (特にシロアリ専門業者さんのブログなど) 見ていると、色々と迷ってしまいます。

「ホウ酸処理をしてもあまり効果がなかった。」「ホウ酸に強いイエシロアリやヤマトシロアリには従来の方法で、定期的に処理する方が良い。」そんな内容のものがいくつも見受けられたのです。「アメリカカンザイシロアリの羽アリが木部に穴を開けて侵入する時、最初は木は食べずに外へ排出するため、毒の効果がないのだろう。」ネット上にはそんな書き込みもありました。ホウ酸は接触毒性がないため、食べて初めて効果が出ます。ですから、一度ホウ酸処理の届かない内部へ侵入してしまうと、もう効かないという事なのでしょう。100パーセント内部までホウ酸を含浸させた木材を100パーセント使う事は不可能に近いでしょう。どちらの方法を採用すべきか、ほんとうに悩んでしまいます。「床下などの再処理可能な所は従来の薬剤で処理し、その他の木材はホウ酸処理するのがベスト。」そんな書き込みもありました。もちろん、それなら効果が一番ありそうですが、コストも掛かりそうです。ほんとうに悩みます.....

つい最近、別のシロアリ処理業者の方が営業に来られました。色々とお話をお聞きしましたが、その業者さんはホウ酸も使うそうなのですが、やはり、それには否定的な見解をお持ちでした。建築設計士は僕も含め、シロアリについては素人です。これからもそんな専門家の意見を聞き、色々調べ、クライアントと相談し悩みながら、その都度その都度、何を使うか決めていくしかなさそうです。

TO

 

 

木造の天敵 (5)2015.09.24

大分間が空いてしまいましたが、もう少しシロアリについてお話したいと思います。

前回までお話してきたのは、主に昔から日本にいたシロアリについてです。しかし近年、アメリカカンザイシロアリという外来種についても、よく耳にするようになりました。

このシロアリは数十年前に建材などと共に日本に移入されたようですが、少しずつその生息範囲を広げ、今では全国の色々な所で見受けられるようになりました。このシロアリはその名のとおりカンザイ(乾材)を好み、日本のシロアリが多少は敬遠する桧や、年輪などの硬い部分も好んで食べていくようです。そして何より、在来種と決定的に違うのがその進入経路です。このシロアリは土からでなく、空から羽根蟻としてやって来るのです。そのため、今までのような防蟻処理ではあまり効果がないのです。それなら、一体どうしたら良いのでしょう。

以前、シロアリ処理業者の方が営業に来られ、ある資料を置いていかれました。それによると、このシロアリの故郷(?)アメリカでは、薫蒸処理とホウ酸塩処理がスタンダードになっているそうです。その後興味を持って色々とネットでも調べてみたのですが、薫蒸処理は家を丸ごとシートで囲みガスを充填する方法で、金額も高く、毒性が残らないため効果の持続性はまったくないそうです。そのため、日本ではほとんど行われていないようです。ただ、ホウ酸塩処理はなかなかの優れもののようです。その効果は半永久的に続き、人間のような動物にはほとんど無害なのですが、腎臓を持たない虫には効果を発揮するようなのです。

「今後はホウ酸だ。」そう言いたいところですが、そう簡単でもありません.....

TO

 

 

 

木造の天敵 (4)2015.09.19

以前、シロアリの食害について調べていた時、静岡県の公営住宅で食害を受けた家屋の倒壊実験が行われたという文章を読んだ事があります。

築40年以上の10棟程度の木造の公営住宅を解体する時、調査の結果、半数がシロアリの食害を受けていたそうです。食害を受けている事以外、建物は築年数、間取りなど全てが同一のものです。そこで、食害によってどれほど強度が少なくなっているのかを調べたわけです。倒壊実験の結果、全ての建物の強度に差はなかったそうです。どのような方法で、どれだけ精度のある実験だったかはわかりませんが、食害による影響が余りなかった事は確かなようです。とは言っても、10棟程度の実験では何も確かな事はわからないでしょう。これがもし逆の結果なら、シロアリはほんとうに恐ろしいと言えるでしょうが、この結果では、恐ろしくないとは言えないのです。まあ、一万棟ぐらいやって同様の結果であれば、ある程度確かなものになるかもしれませんが.....

当然ですが、シロアリの食害は千差万別です。多少の事では、強度に大きな影響はないかもしれません。ただ、それが耐震壁等の重要な部分に集中していれば、大きなダメージを被っている可能性もあります。まあ、数十年経った古い家屋で、蟻道や羽根蟻を見つけたり、フローリングなどの木部に異常を感じたり、腐朽臭がしたり、そんなシロアリの兆候を見つけたら、一度専門家に調べてもらった方がよいのではないでしょうか。

TO

 

木造の天敵 (2)2015.09.04

最近の木造住宅の多くがそうであるように、僕が設計した木造住宅の基礎は全てベタ基礎です。

つまり、一階の床下は分厚いコンクリートになっているのです。そのため、シロアリが土中より進入するためにはコンクリートの基礎の立上り部分を登ってこなくてはなりません。そのためシロアリはそこに蟻道と呼ばれる土のトンネルを作り、湿度の高い快適なその中を集団で上り下りして、餌の木を食べていくのです。シロアリによる食害が急激に起きるとは考えづらいですので、蟻道などの兆候を見つけてから処理を考えても良い気もします。特に被害が多いといわれる玄関や勝手口などの地面に近い木部や、外周部をたまに点検すれば十分な気もします。

ただ、ベタ基礎でも内部からの進入は皆無ではありません。配管の穴や、僅かなヒビなどからも容易にシロアリは進入してきます。そして、僕の住宅では採用していませんが、基礎の外断熱は最悪です。基礎に張られた断熱材の中をシロアリは自由に行き来し、発見も難しいのです。これらの場合、ハネアリや床などの木部の異常によって気付く事になるわけです。その時、食害がどれだけ進んでいるのか.....

5年に一度の専門家の調査と処理は行った方がより確かな事は明らかです。ただ、15~30万円程掛かるその費用が保険として高いか安いかは、なかなか判断のしづらいところです.....

TO

一級建築士事務所 内川建築設計室 岐阜・愛知・三重を中心に夫婦で建築設計事務所を営んでいます。