設計と施工 (1)

「デザインビルド」 最近よくこの言葉を目にします。

設計(デザイン)と施工を一括して工事を依頼する方法です。東京オリンピックで作られる多くの施設も、この方法が採用されると聞きました。

この方法のメリットは、受注する会社の得意な技術やノウハウが反映され易い事、工期の短縮、工事費の早い段階での確定、工事責任の明確化、発注業務の簡易化等が挙げられています。ただ、設計事務所側からはこの方法に対する批判の声も上がっています。アメリカでよく見られる、設計事務所と施工会社がチームを組みデザイン・施工両面を一括受注するデザインビルド(DB)とは違い、一社に設計施工を依頼すれば、偏った設計やその質の低下を招き、コストや品質に関しての中立性の高いチェック機能が働かないのではないかという批判です。

従来、設計事務所の存在意義は、その設計能力と独立性の高い工事監理能力のふたつによって成り立っています。1業者による設計施工はその意義そのものを否定する事にもなるのです。ただ、施工に関してのノウハウは、大手の設計事務所でも大手ゼネコンには太刀打ち出来ません。ましてや、そこに優秀な設計集団を抱えたスーパーゼネコンなら、その優位性は明らかでしょう。客観的な施工チェックやコストチェックを発注者が出来るシステムがあれば、DB は優れた方法と言わざるを得ません。今後設計事務所はDBの設計パートナーや下請けとなったり、発注者側の設計・施工・コストチェックの代理人となったりと、今までとは少し違った仕事をするところも増えてくるかもしれません。

奇抜なデザインによる予算オーバーや雨漏りの心配が減り、工期の遅れを気にせず、一本の電話で簡単に事が運んでいき、そこそこのコストでそこそこのデザインで出来上がるデザインビルドは、ある人達にとっては夢のような方法かもしれません。ただ、そこに目を瞠るような優れた建築が出来てくるのか、それについては今後注意深く見守っていく必要があるでしょう。

ところで、今までお話したのは竹中工務店等、優秀な設計集団を抱えた大手ゼネコンによる巨大な工事のデザインビルドの事です。僕が携わっているような一般的な個人住宅では、ちょっと話が違ってきます.....

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