設計と施工 (3)

4 建設会社に頼む

この方法は一般に言うところの建設会社による設計施工です。これは5つの方法の中で比較してしまうと、メリット、デメリットを挙げずらいですので、設計事務所へ依頼する場合とだけ比較してみます。

この設計施工の最大のメリットは、何といっても工事費の早い段階での確定でしょう。最初に予算を伝え、それに合った図面と工事を依頼すれば、原則的には追加工事は発生しません。

ただ実際は、工事が進行する過程で発生するクライアントの変更要求等で、かなりの追加工事が発生する事があるようです。そして、公共機関や大会社が大手ゼネコンに依頼するデザインビルドとは決定的に違う事があります。そのひとつは、個人の方には施工やコストに関してのチェックがほとんど出来ないという事です。そしてもうひとつは、例外もあるとは思いますが、小さな建設会社には独立性の高い優秀な設計者がほとんどいないという事です。

ほとんどの施工会社は基本的には良心的で、悪質な手抜き工事などはしないと僕は思っています。ただ、自社に都合の良い施工方法を選択する事はあるでしょうし、、ミスを自社内でチェックするシステムが大手ゼネコンのように機能していないと思われるのです。実際配筋検査などに行くと、何故間違うのかというような重要なミスを発見する事が多々あります。決して故意ではないのですが、そのようなミスは意外と多く発生しているのです。そして、それらをチェックする機能があまり働いていないように思えるのです。

また、コストに関しても、暴利をむさぼるような悪質な業者は少ないとは思いますが、競争原理が働かない中で、ギリギリの価格をわざわざ出してくるところも少ないでしょう。

そして、何よりそこに優秀な設計者がいなければ、質の高い建築を望む事は出来ません。空間の質を高めるため、光の入り方や空間構成、そして様々なディテールを何度も何度もスタディし、使い勝手を少しでも良くするために、小さな部分まで何日も掛けて検討する。このような地道な作業がない限り、質の高い建築は出来ないのです。これは建築好きな設計者なら決して苦ではありません。むしろ楽しいのです。ただ、納得いくまで時間を掛け、自分がなし得る最高の質まで建築を高める事が、一般的な建設会社の一設計者に可能かどうかは、はなはだ疑問です。

ただ最近、小さな建設会社の設計施工物件でも、なかなかデザイン性の高いものを見かける事があります。どうやら、下請けとして優秀な設計者が関わっているようなのですが、この場合は質の高い建築も可能になってくるかもしれません。ただ、下請けとしての設計者のクライアントはあくまで建設会社であり、その家を買われる個人ではありません。そのため、どこまで中立性の高い施工チェックやコストチェックが可能なのか、その点についてははなはだ疑問です。

僕は来られるお客さんには 「大工さんに直接頼むのならともかく、設計施工で工務店に依頼するぐらいなら、僕のところでなくても、優秀な設計事務所に依頼した方が良いと思います。10%程度の設計料は工事入札に掛ければ、出てくる見積もり金額の差額で吸収できるかもしれません。たとえ一社に特命にしたとしても、見積もりチェックや設計の工夫などで十分元は取り返せますよ。」 と伝えています。

もちろん、優秀な設計者が下請けにいて、その人が思い通りに力を発揮し、良心的で施工技術が高い、そんな建設会社もあるでしょう。そして、そんな業者がごく近い身内にいれば、お値打ちなコストで仕事をしてくれるでしょう。その時は、優秀な設計事務所もちょっと歯が立たないかもしれません.....

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