個人の方が住宅を手に入れようとすると、自分で作るのでなければ、大雑把に言って下のような5つの方法が考えられます。
1 既に出来た建売住宅を買う
2 ハウスメーカーに頼む
3 個人の大工さんに頼む
4 建設会社に頼む
5 設計事務所に頼む
これら5つの方法には、手に入れようとする個人の方にとって、それぞれにメリットとデメリットがあります。様々な意見もあるでしょうが、僕が思うところを簡単にお話してみたいと思います。
1 既に出来た建売住宅を買う
この方法の最大のメリットは、何といっても、一般の商品のように出来たものを確認してから購入できる事でしょう。しかし、これはデメリットにもなります。つまり、出来上がる工程 (見えない部分) が確認できないのです。
僕は独立前にいた事務所で、建売業者の仕事をした事があります。担当した物件はごく僅かでしたが、大工さんは誠実な人でした。ただ、建売業者から請け負う単価は驚くほど低く、とてもまともな監理は難しいと思った記憶があります。他の現場では無筋コンクリートの基礎も平気で作られている、と聞いた事もあります。今はそんな劣悪な物件は少なくなっているとは思います。ただ、もし建売住宅を買うのであれば、当然ですが、信頼できる業者を選択する事が非常に重要になってきます。
どうすれば信頼できる業者を見極められるのか。それはなかなか難しいところです。もしその業者や下請け業者の業界内での評判などを調べる事ができれば、ある程度はわかるかもしれません。そして、その業者が昔作った物件の状態を確認したり、工事中の他の物件を見ていても、ある程度の判断材料にはなるでしょう。しかし、それは一般の方にはなかなか大変な事かもしれません。それでも、少しでも多くの情報を集める事が大変重要と言えるでしょう。
2 ハウスメーカー に頼む
この方法のメリットは 1 と同様、住宅展示場等でかなり近いものを事前に確認できるという事でしょう。そして、名の通ったメーカーであれば施工の信頼性も高いでしょう。また、ある程度は間取りや仕上げの変更も可能です。
ハウスメーカーは一般的にプレファブという大量生産によって、良質なものを安価に供給する努力をしています。普通の住宅が手工業的方法で作られる中、それは大変意味のある事だと思います。ただ現実は、クライアントの様々なオーダーによる差別化によるコストアップや、CM等の膨大な経費によって、決してローコストなものとはなっていません。
実際僕の事務所では、ハウスメーカーでは予算が合わなかったというお客さんのものが数多くあります。もちろん、デザインや間取りが気に入らなかったという方もおられますが、要望を叶えようとすると、どうしても予算オーバーになったという方が以外に多いのです。ハウスメーカー、特に一流のものは意外と高いのです。
3 個人の大工さんに頼む
この方法の最大のメリットは、なんといっても価格でしょう。他の方法では、純粋な建設費以外の費用が絶対に掛かります。会社が大きければ大きいほど掛かる様々な経費、CM等の広告料、設計監理料等々。これらが個人の大工さんに頼めば全て掛からないのです。厳密に言えば、下請けの設計士などへの経費が掛かっているのですが、それでも他の方法より安い事は一目瞭然です。僕はよく、かなりなローコストを望まれるお客さんには、「デザインや、ある程度の使い勝手を諦めれば、近所で評判のいい大工さんに直接頼むのが一番お安いですよ。」とお話しています。もし、デザイン力と技術力のある良心的な大工さんがいたら、設計事務所ではとうてい歯が立たないでしょう.....
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