明度は色の明るさの度合を表す指標です。
建築の設計監理は、それが住宅であれ店舗であれ、完成するまでには必ず色と向き合うことになります。外壁の色、内壁の色、天井、床、家具、建具、設備機器等々、全ての色を決める訳ですから当然と言えば当然です。過去に同じような色合いの建物をやっていれば決めるのも容易ですが、少しどこかの素材や色合いを変えるだけで、その中のたったひとつのスイッチの色を何日も決められないこともあります。特に壁や天井等の塗装はいくらでも色合いが考えられますので、更に時間が掛かる事になります。そんな色決めの時に設計事務所が使うのは21.5㎝×5㎝の日本塗料工業会(日塗工)の色見本帳です。僕が持っているポケット版は厚さが2.5㎝程のものですが、その中には1ページに9色、それが72ページで計648色の色見本が表示されています。これだけあればほとんどの色合いを決めることが出来ます。この見本帳の中の色見本には、それぞれに2つの番号が付いています。ひとつは日塗工が決めた番号で、これを指示すれば同じ色の塗料が現場に届くことになります。そして、もうひとつがその色のマンセル値です。マンセル値とは色合いを数値で表す国際的な指標です。それには色相(色の種類)、彩度(色の鮮やかさ)、そして明度(色の明るさ)が表示されています。色はこの3つの要素で表すことが出来る訳です。これら3つの要素は常にひとつの組み合わせで存在します。ですから、明度だけを考えて色決めをすることはありませんが、明度だけを特に注視して色を決めることはあります。ただ、色相(色の種類)が同じであれば容易ですが、それが違う2色の明度の比較は中々困難です。そんな時は目を細めて2つの色見本を見比べてみると、その違いがよく分かります。僕が明度を確かめる時はいつもこの方法です。
僕の引き出しには日塗工の3冊の色見本帳が入っています。古い見本帳の中のオフホワイトの色見本の下には「〜邸内壁ハコレニ白+」等と書き込まれています。内部の白い壁も2色を混合して作っていたのです。若き日はまさに色々と試行錯誤していたのです。
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