妖しい黄金色 (4)

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「金」は何故、妖しい虚構性を生み出すのでしょうか。

それはたぶん黄色く光るその輝きのせいでしょう。現実の3次元の物質の世界に使われた時、「金」は表面にその輝きによって通常の影を作りません。現実の襞を作らないのです。3次元に現れた2次元平面、しかしそれは異次元へといざなう平面でもあります。それが虚構性を生み出すのでしょう。それは銀色に輝くシルバーも同じです。それもまた虚構性を生み出します。しかし、シルバーには「金」のような色味がありません。色気がないのです。それが黄色く光る黄金色の「妖しさ」を創らないのです。「銀」が清浄なミニマムな輝きなら、「金」は妖しい重層的な輝きと言えるかもしれません。赤でもなく青でもなく黄色に輝くその光が、人肌のような妖しさを生み出すのかもしれません。

現実の「金」は重く、その希少価値により血塗られた歴史を作ってきました。人間の血と欲望を吸い込んで妖しく輝く。そう言うとちょっと大袈裟ですが、ロマノフ王朝の末路に思いを馳せる時、黄金色に輝く「おとぎの国」も、その輝きゆえに一層哀れに見えてきてしまうのです。

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