漆喰の厚み (前編)

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僕の家の壁と天井はほとんど漆喰塗りです。そのため、猫臭さをかなり軽減してくれているようです。最近ほとんど使われなくなった材料ですが、僕は昔からよくこの素材を使います。

漆喰は猫臭さを軽減するだけでなく、調湿性があるため結露しづらく、カビがあまり生えません。そして、塗装のように変色する事もありません。ただ、柔らかいため傷がつきやすく、表面的な汚れはサンドペーパーで簡単に落ちますが、染み込んだ汚れは落とすことが出来ません。それでも、僅かにスサの浮き出たその質感は大変美しいものです。

普通の漆喰は中に寒水という白い砂を入れ、金鏝で押さえます。ただ、その砂の種類や大きさを変えたり、鏝の種類や押さえ方を調整したりして、表面に砂が浮き出るようにする等、様々にテクスチャーを変えることも可能です。また、色粉を入れて色付けをする事もあります。ただ、ほとんどの場合は、僕の自邸のように一般的な仕様にしています。

僕のところに塗ってある漆喰の厚みは、下塗りも含めるとおよそ10ミリ前後といったところでしょうか。上塗りだけを1、2ミリ塗る工法もありますが、やはり厚みのある方が僕は好きです。プラスターボードにジョイント処理後、直に上塗りをすると、光の当たり方で下のボードの感じがわかり、厚みを感じられません。ただ、厚く塗れば塗るほどヒビが入りやすくなってきます。僕の家の壁はクラックまみれです。これはローコストに抑えるため、コンクリートに打ち込んだ木毛版に直に左官仕上げをしたためですが、僕は気になりません。クラックが入っていても、入り方が素材の厚みを感じさせてくれるからです。

もちろん、クライアントの住宅はもっとちゃんとした仕様ですので、こんなにクラックが入る事はありませんが.....

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