木造の天敵 (4)

以前、シロアリの食害について調べていた時、静岡県の公営住宅で食害を受けた家屋の倒壊実験が行われたという文章を読んだ事があります。

築40年以上の10棟程度の木造の公営住宅を解体する時、調査の結果、半数がシロアリの食害を受けていたそうです。食害を受けている事以外、建物は築年数、間取りなど全てが同一のものです。そこで、食害によってどれほど強度が少なくなっているのかを調べたわけです。倒壊実験の結果、全ての建物の強度に差はなかったそうです。どのような方法で、どれだけ精度のある実験だったかはわかりませんが、食害による影響が余りなかった事は確かなようです。とは言っても、10棟程度の実験では何も確かな事はわからないでしょう。これがもし逆の結果なら、シロアリはほんとうに恐ろしいと言えるでしょうが、この結果では、恐ろしくないとは言えないのです。まあ、一万棟ぐらいやって同様の結果であれば、ある程度確かなものになるかもしれませんが.....

当然ですが、シロアリの食害は千差万別です。多少の事では、強度に大きな影響はないかもしれません。ただ、それが耐震壁等の重要な部分に集中していれば、大きなダメージを被っている可能性もあります。まあ、数十年経った古い家屋で、蟻道や羽根蟻を見つけたり、フローリングなどの木部に異常を感じたり、腐朽臭がしたり、そんなシロアリの兆候を見つけたら、一度専門家に調べてもらった方がよいのではないでしょうか。

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