今日、笠岡から帰ってきました。
笠岡市は岡山県の西端にある人口5万人程の小さな港町です。僕は父親の仕事の関係で小学校5年生から高校卒業までを、海沿いのこの小さな町で暮らしました。昨日はそこで中学校時代の恩師の喜寿の祝いの宴席があり、それに出席するため久しぶりにこの町へ行ってきたのです。
片道3時間程の列車の中で僕はずっとエスキスをしていました。南側に貸し駐車場を持つ30坪程の小さな木造住宅の計画です。エスキスは最初のうちは机に向かい紙と鉛筆で始めますが、敷地の形状や要求される建築条件等がある程度頭に刷り込まれると、紙と鉛筆から離れます。それを使うよりも頭の中だけで考えた方がより自由な構想が出来るからです。もちろん細部を詰める時などにはまた紙と鉛筆を使うのですが、それ以外はそこから離れるのです。寝る前などにもついつい考えてしまい、なかなか寝付かれず困ってしまう事もありますが、早起きした時の布団の中などはエスキスにはもってこいです。まんじりともせず、じっと布団の中でエスキスに集中出来るのです。時には車を運転している時や、テレビを見ている時でさへ、頭の中でエスキスをする事があります。ただ、長い時間それだけに集中できる一人旅の列車の中は、エスキスするのには一番の場所かもしれません。傍から見れば車窓の景色をボーと眺める暇そうなオジサンに見えている事でしょうが、頭の中ではちゃんと「仕事」をしているのです。
もちろん、懐かしい恩師や友との宴席では頭の中の「仕事」もお休みしています。
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