か・階段(1)

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僕の学生時代の卒業設計のテーマは「階段」でした。「階段」は多くの建築家にとってとても魅力的な存在だと思います。

「階段」は上下の二つの領域を結ぶ連絡通路(動線)という建築にとってとても重要な機能を持っていますが、もう少し別の言い方をすれば、二つの領域を繋ぐと同時にそこに距離感を作り出す空間的な装置と言う事もできます。つまり、階段がなければ二つの領域は隔絶され距離感を感じることもありませんが、それによって二つの領域を結ぶとそこは一つの空間になると同時に、二つの領域の間には「階段」という距離感が生まれるのです。それは長い廊下にも同じようなことが言えますが、「階段」には高低差という位置エネルギーの差を作る特性があるため、その距離感はより深くなるのです。その距離感は時として日常からの距離感を作り出し、「非日常性」「神秘性」を生み出すこともあります。

サンピエトロのスカラレジア、バラガン邸の稲妻型の片持ち階段、サグラダファミリア尖塔のらせん階段等々、よく知られたこれらのもの以外にも多くの階段が僕の記憶に深く刻み込まれています。それはそこに単なる接続装置という機能だけではない、日常を超越した神秘性や精神性が内包されているからこそではないでしょうか。

「階段」は建築空間において現象学的にとても重要な役割を果たすことがあるのです。

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