く・けー空間・建築(4)

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「建築」という言葉が「Architecture」の訳語として使われ始めたのは明治以降のことです。

本来「Architecture」いう言葉は「アルケー」=原理・始原と「テクネー」=技術という意味が一体となった言葉で、単なる建設や建造とは違うもっと深い意味が内在しています。ギリシャ時代に神殿を作る際に求められたであろう神聖な技だったのです。それがローマ時代にウィトルウィウスという建築学者によって体系づけられ、ヨーロッパの長い歴史の中でより強固な概念として確立していったのです。そんなヨーロッパにおいて長い歴史を持つ「Architecture」という概念を的確に表す言葉は日本には存在しませんでした。そんな中でその訳語として採用されたのが「建築」という言葉だったのです。そして、それまで「造家学」呼ばれていたものが「建築学」と呼ばれるようになったのです。それを提案したのは東京駅を設計した辰野金吾の弟子の伊藤忠太という建築家でした。ただ、「Architecture」という言葉の訳語として彼が本当に使いたっかのは「大匠道」「高等芸術」といったような言葉だったようですが、多くの人にとって建物を作るイメージとはあまりにかけ離れてしまうため、受け入れやすい当時既に使われていた「建築」という言葉を採用したようです。

ただ、このことによりその後の混乱が始まるのです...

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