く・けー空間・建築(3)

イメージ画像1

ギーディオンが20世紀初頭からのモダニズムの建築の中に見出した第3の空間概念、これを日本建築の中で考えてみると、僕が最初に思い浮かべるのは、ブルーノタウトによってモダニズムとの類似性を指摘され、世界的にも高く評価されることになった桂離宮です。

水平線と垂直線による構成、均質な空間の連続性、装飾性の少なさ、これらは日本建築が持つモダニズム的特性であり、「桂」の魅力を作り出している重要な要素です。ただ、そういった側面を弥生的ととらえた時、縄文的な側面をも併せ持つこの建築の魅力は、それだけでは語りつくせません。回遊庭園に点在する建物の特質、飛び石の組み方、時間とともに雁行した建物の配置、庭木、細部の装飾、これらを細かく時に広く、深く論ずれば論ずる程この建築の魅力を深く語ることができるかもしれません。ただ、ここではその余裕はありません。その代わり非常に単純にこの建築の美しさを表現するとすれば、美しい日本的な素材と軽やかな構成、そしてその周りの自然との一体感が生み出す「美」といったところでしょうか。こんな言い方をしてしまえば、他のすべての美しい日本建築にも当てはまってしまいますが、「桂」はその美しさが群を抜いているのでしょう。「桂」もまた西欧のモダニズム建築とは違う自然との関わり方をしているのです。

西欧の「空間」が人間が自然と対峙し、そこから獲得した強固なものだとすれば、日本の「空間」はそこにあってそこから与えられた受動的なものといえるかもしれません。ただ、そんな柔らかな伝統を、僕も含め多くの日本のの建築家がどこまで継承出来ているかどうかは分かりませんが...

TO