前に、「コンクリートは50年持つか。」「500年持つコンクリート」等、コンクリートの耐久性について少し触れた事がありますが、実際RC造は構造的にどれだけ持つのでしょうか。
RC造の構造的な耐久性を語る時、一番良く触れられるのは中性化の問題です。内部の鉄筋を錆びさせないアルカリ性のコンクリートが大気中の二酸化炭素で徐々に中性化し、鉄筋が錆び、コンクリートとの付着力が下がったり、錆びに拠る膨張でコンクリートが爆裂して強度が落ちる。これが中性化による強度低下の仕組みです。もちろんクラック等があれば進行も早いですが、それらがなくても確実に表面から中性化は進んでいくのです。
鉄筋はコンクリートの表面からおおよそ30ミリ程度のところに入っています。この付近まで中性化が進行するのに掛かる時間は一般的なコンクリートでほぼ60年と言われています。これをもって、RC造の寿命は60年とされる事もありますが、これが構造的な限界年数という事でもありません。何故ならコンクリートが中性化したからといって、すぐに鉄筋が錆び始めるわけではありません。そして、中性化したコンクリートはそのためだけで強度が落ちる訳ではないのです。
中性化によって言われている寿命60年というのはRC造の賞味期限のようなものかもしれません。本来コンクリートが持っているアルカリ性という優れた機能が失われ、ちょっとした事で鉄筋が錆び始める、そんな状態になるまでの時間を表しているのです。
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