にー庭(1)

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前回は「中庭」でしたが、今回は「庭」です。

「庭」は本来広い平坦な場所を指す言葉でしたが、そこに植物等が植えられた「園」という言葉が結びつき「庭園」という言葉が生まれ、今ではその「庭園」という言葉と同義に使われるようになっています。ここでは「庭」=「庭園」についてお話ししてみましょう。

庭は世界中のあらゆる国に存在しますが、その中でも日本の庭は美しさや個性に置いて他を圧倒している、そんな気がします。日本の庭(日本庭園)が初めて日本書紀の中に表れるのは蘇我馬子の庭についてですが、そこには当時から池や小島が築かれていたことが記されています。それらには当然大陸の影響があったと思われますが、その後少しずつ日本らしい特徴を帯びていくのです。

平安時代には貴族の寝殿造の庭について橘俊綱が「作庭記」を表し、その後の日本庭園に大きな影響を与えます。そこには「乞はんに従う」と記されているように、自然に対し受動的であれと書かれているのです。岩や地形が自ずと要求してくるものを感じそれを表現する。つまり、自然を克服するのではなく自然に従えと言っているのです。これこそがヨーロッパの庭園等とは決定的に違う日本庭園の特徴と言えるでしょう。これは「作庭記」の影響でもありますが、この本が無くとも日本人の気質がいずれは獲得していった特徴と言えるでしょう。

その後、日本の庭は平等院鳳凰堂のような浄土教の庭、龍安寺の石庭や苔寺のような禅宗の庭、利休や遠州によって作られた茶室の庭(露地)が生み出され、それらが交わりながら現代へと引き継がれていきます。そして、近代・現代の新しい建築様式とも関わりながら、庭は様々な形に作られているのです。

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