塀とは何でしょうか。
建築基準法第2条の中には建築物の定義が書かれています。「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに付属する門若しくは塀、・・・」を建築物と定義しています。つまり、ここでは塀も建築物であるとは言っていますが、塀の厳密な定義はしていないのです。建物とは独立して境界等に建つ壁を常識的に塀と認識しているため、わざわざ厳密に定義はしていないのでしょう。そのため、僕が作った「蓼科の山荘」では、この「塀」が大変問題になったのです。
「蓼科の山荘」では東西方向に流れる片流れ屋根を南北方向に延びる長いRC壁が支えています。この壁は屋根の巾を超えて更に南と北の両方向に延長しているため、屋根を受けていない部分は自立した一枚の壁になっている訳です。「この部分は塀ではないか。」そう茅野市の建築課の人からクレームが付いたのです。「蓼科の山荘」が建つ地域は美観を守るため、敷地の広さや建物と境界との距離等に規制があり、塀を作ってはならないと条例で定められていたのです。「これは塀ではなく、建物の壁です。」屋根の垂木を構造的に支えている訳ですから、多少南北にはみ出していても建物の壁であることに違いはありません。そう説得して建築課の人には納得してもらいました。ただ、この壁が更に延長して敷地全体を囲むようになっていたら、許可されたかどうかは分かりません。
このように「塀」を厳密に定義することはなかなか難しいと思います。もし僕が「塀」を定義するのであれば、独立した壁であっても、構造的であれ意匠的であれ、その建築の構成に必要不可欠な壁であればそれはあくまで「壁」であり、それを「塀」とは呼びたくありません。
安藤忠雄の建築の中に屹立する分厚いRC壁は、どれも「塀」とは呼びたくありませんので。
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