ミケランジェロは誰もが知るイタリアの大芸術家です。
フィレンツェの小貴族の子として生まれ、少年時代からその才を認められた彼がその代表作とも言えるサンピエトロのピエタ像の制作に取り掛かるのは若干23才の時でした。この比類なき名作によって彼の名声は不動のものとなり、その後88才で没するまでの間に多くの作品を残すことになるのです。その中でもダビデ像やシスティーナ礼拝堂の天井画や最後の審判などは特に有名です。彼は存命中に伝記が出版された最初の芸術家と言われています。生きているうちにその才能を高く評価され、教皇やメディチ家等の超大物のパトロンから多くの依頼を受けた彼の生涯は、芸術家としてはとても恵まれていたと言えるかもしれません。ただパトロンが巨大であるが故の苦悩や軋轢、そして彼が孤独を好み変わり者と評され、生涯独身であったことを思うと、その人生が明るく華やかな幸せなものであったかどうかは疑問です。
彼が生きたルネッサンス時代のイタリアには、もう一人彼以上に有名な大芸術家がいます。レオナルドダビンチです。天才という点ではダビンチの方が遥かに上だったと思いますが、僕はどうしてもミケランジェロの方に惹かれてしまいます。それは多分彼が多くの建築に関わってきたからなのでしょう。サンピエトロ大聖堂のクーポラ、リブレリア・ラウレンツィアーノ、カンピドリオ広場等は後世に残る名作です。これらに直接的、間接的に触れることにより、より一層ミケランジェロに惹かれていったのでしょう。
画家、彫刻家、建築家、そして詩人としての顔も持つ彼でしたが、彼自身は多分一人の彫刻家として生きたかったのかもしれません。視力を失い腰が曲がっても、病に倒れるその日まで、彼は遺作となったロンダニーニのピエタを彫り続けたと言われています。最後まで彫刻家だったのです。彼は生涯に四つのピエタ像を製作していますが、製作途中の荒削りのままに残されたこのピエタは究極の完成度を誇るサンピエトロのそれとは全くの別物です。ただこの中にも、ミケランジェロの彫刻家の魂が封じ込められているのです。
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