20年前、関市に数寄屋の住宅を作りました。事務所を開設してから今日までここまで純粋な「和」の建築を建てたことはありません。そして今年この家の増築で究極の伝統的な日本建築ともいえる「茶室」を作りました。
「竪穴式住居」「高床式住居」「寺院」「神社」「城郭」「書院造」「数寄屋造」「民家」「茶室」日本の建築史の中には様々な建築が登場します。ただ、その中でも「茶室」は縄文的要素と弥生的要素を合わせ持ち、「わびさび」という日本独自の美意識を体現した非常に重要な建築と言えます。
今回このT邸の茶室では間取りはオーソドックスな「又隠」を写し、伝統的な素材感を追求しました。つまり、モダンにアレンジしたものではなく、昔ながらの茶室を目指したのです。ただ、昔ながらの真壁工法で土壁で仕上げたのでは予算オーバーになるため、大壁工法で土壁風の素材を使いました。水屋は表千家の規範を守りつつ、寸法等は現代風に調整しています。露地は以前T邸の庭を手掛けて頂いた住友造園の大西さんにお願いしました。出来たばかりの庭は真新しく、まだまだ馴染んではいないようですが、数年後にはきっと落ち着いた良い露地空間になっていることでしょう。
コロナ後の光が僅かに見え始めた今日この頃、今後ここですてきなお茶会が少しでも多く催されることを願って止みません。
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