庇や軒は雨の多い日本においては大変重要な建築要素の一つです。
屋根が外壁より外へ飛び出した部分を軒と言うのに対し、外壁から飛び出た小さな屋根が庇です。軒の役目は主に外壁を雨から守ることだと思いますが、庇は開口部への雨の吹き込みを防ぎ、暑い日差しを調整することがその主な役割と言えるでしょう。僕の建築では、それが箱型のシンプルな住宅であっても必ず庇は付いています。通風や採光のための小さな窓に庇がない建物も、出入りの多い重要な開口部には必ず1.5〜2mの深い庇を付けるようにしています。ただ、低い開口部に深すぎる庇を付けると冬場の暖かな日差しも届かなくなってしまうため、そのバランスも重要です。
M邸、K邸、ST邸等では2mの庇が付いていますが、そのくらい深くなると、その下は内部と外部の中間領域のような様相を現してきます。以前「濡れ縁」について書いたことがありますが、濡れ縁が床の連続による中間領域の現出なら、庇は天井の連続による現出と言えるでしょう。庇とは言えませんが、FO邸では間口6.5mの2階部分が1階より5mも跳ね出しているため、その下の6.5m×5mのスペースは3方に壁のない屋根のみの独特な中間領域となっています。また、T邸やその茶室では玄関と躙口の前に土庇と呼ばれる数奇屋建築ならではの深い庇空間があります。ここもまた外部から内部へと人を誘う「和」の中間領域と言えるかもしれません。
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