漆喰の厚み (後編)

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最近、いくつかの木造住宅でドイツのプラネットウオールという漆喰を使ってみました。これはプラスターボードにコバウ下地という紙を全面に張り、その上に1~2ミリの漆喰を塗るというものです。

木造はRC造に比べ揺れ等が大きく、表面にクラックが入りやすいので、これを採用してみたのです。それなりの地震が来た時にどうなるかはちょっとわかりませんが、今のところクラックはほとんど入っていません。そして、下地のジョイントも気になりません。なかなかの優れものですので、今後も使う機会はあるでしょう。

ただ、塗り厚が1~2ミリである事がちょっと気になります。この事が長い年月とともに、少しずつ感じられてくるように思います。傷をつけた時や地震などでクラックが入った時に、そこに見られる材料の厚み。どんと手をついた時の感触等々。これらがその材料の厚みや重みを僅かに伝えてくる気がします。薄いボードに塗られた薄い仕上げは、やはり厚みのある仕上げとは重量感が違います。

ただ、材料の重量感をとるか、表面のクラックの入りづらさをとるか、どちらをとるかはなかなか難しい問題です。クラックは往往にしてクレームの大きな要因となるからです。室内から見えるクラックは、構造的にはまったく問題がない場合がほとんどです。もちろん例外もありますが、仕上げ部分の表面的なもので、構造とは直接関係がないものが多いのです。それでも見た目は悪いですので、大きなクレーム要因となるのです。そのため、ハウスメーカーなどではあまり使われません。

今後も漆喰を塗る時は、その表面の色やテクスチャーのみならず、下地も迷う事でしょう。重量感、クラック、経年変化、経済性、クライアントの意向等々、様々な要素を考えながら決めていく事になると思います。

でも.....漆喰は厚い方が好きです。

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