コンクリートに鉄の棒を入れて補強したものが鉄筋コンクリートです。
押しつぶされるのには強いコンクリートも引っ張る力には弱く、それを鉄の棒(鉄筋)で補った訳です。この二つの材料の関係は二つの幸運な性質によって、より強固なものとなりました。
ひとつは 「鉄とコンクリートの熱膨張率がほぼ等しい」 という性質です。つまり、温度変化によって鉄とコンクリートは同じように伸び縮みするのです。線路のレールが熱膨張で歪むのを防ぐため、ジョイント部分にわずかに隙間を作っているのをご存知な方も多いと思います。「熱くなれば鉄は延びる。」それは感覚的にも理解できます。ただ、それと同じくらいコンクリートも伸びているとは、なかなか信じられない気もします。しかし、同じように伸び縮みしているからこそ、分離せずに一体となっていられるのです。
そして、もうひとつ重要な事は 「コンクリートがアルカリ性である」 という性質です。実際は長い年月を掛けて少しづつ中性化していくのですが、これによって鉄が錆びずにいられるのです。鉄筋が錆びれば体積も膨張し、コンクリートと分離し、更にはそれを破壊さえしてしまいますので、錆びない事は大変重要なことなのです。
ふたつの性質によってコンクリートと鉄は強固に結びつきました。土と石から出来た素朴なコンクリートは、鉄と出会う事によって鉄筋コンクリートとなり、飛躍的にその性能をグレードアップさせたのです。
TO