素朴なコンクリート (3)

コンクリートを鉄で補強したものが鉄筋コンクリート構造ですが、日本の土壁も同じような構造をしています。

鉄の代わりに竹や木を格子状に組み、それに土を塗り込んでいるのです。土を竹で補強した構造にになっていますので、「鉄筋コンクリート構造」ならぬ「竹筋土構造」といったところでしょうか。強度的には「鉄筋コンクリート構造」にはとうていかないませんが、調湿性に優れ、製造や解体にエネルギーをほとんど使わないこの構造は、究極のエコ構造とも言えます。

そして、このふたつの中間に「竹筋コンクリート構造」というものもあります。鉄の代わりに竹でコンクリートを補強した構造です。このウソのような構造で、鉄不足の戦時中には数多くの建造物が作られました。全ての鉄が砲弾に変わろうとした狂気の時代、無尽蔵に生えてくる竹は大変魅力的な材料だったのです。しかし、一見ヤケクソに思えるこの構造も、実は大正時代から既に研究されていました。「竹筋コンクリート」なる本も戦時中に刊行され、その理論的体系も確立されたのです。思えば、「ごちそうさん」の中で「通天閣」が「竹筋コンクリート」の事を話していたような気がします.....

竹で補強されていようが、鉄で補強されていようが、成分的には土や石を固めた構造ですので、コンクリート (CONCRETE=固まる)(混凝土)構造はやはり、大変素朴な構造と言えるでしょう。

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