棟持柱 (1)

国土の三分の二が森林の日本において、木造建築が昔からずっと主役だったのは当然の事といえるでしょう。

もし、数人の仲間で離れ小島に漂着し、そこで家を作る必要に迫られたとしたら.... 石を割って石斧を作り、木の幹や枝を伐採するでしょう。大き目の2本の木を垂直に地面に埋め込み、その上に出来るだけ真っ直ぐな木を水平に乗せ、細い枝を地面から斜めに掛けて、草や葉っぱで被って三角屋根を作る事でしょう。地面に埋め込む木は、枝分かれした部分を上端に使えばYの字になり、水平の木が据えやすくなります。固定には木の蔓などを使えばよいでしょう。少し広い空間を作りたいのなら、最初に床を掘り下げて、掘った土で廻りに小高い壁を作ればよいでしょう。そうすれば、雨水も防げそうです。

これは所謂縄文時代の竪穴式住居です。斜めの木が垂木、それを掛ける水平材が棟木、そして、それを受ける2本の掘っ立て柱が棟持柱と呼ばれています。実際の竪穴住居は穴の深さも様々で、2~3メートルの、まさに竪穴と呼ばれるのにふさわしいものまでありました。大きさも200㎡を超える巨大なものもあったようです。そして、立てられる柱も2本、3本、4本、5本...と様々です。

ただ、2本の棟持柱の形式が、一番プリミティブな家の原型をイメージさせてくれるのではないでしょうか。それはまるで草と木から出来たテントのようです。

TO