神社

日本建築の歴史は木造建築の歴史です。

木造といっても、何千年も昔の縄文時代は、教科書で習ったような素朴な縦穴式の住居でした。それが弥生時代に入ってから少しづつ家らしい高床式の住居が生まれてきます。そして、6世紀末に大陸から仏教建築が伝来し、それは徐々に和様と呼ばれる日本風の様式に変化していきます。その後も大陸からは新しい仏教建築が伝来し、寺院に限らず日本建築に大きな影響を与えていきます。実は神社建築も仏教建築の影響で、その様式を固定化していくのです。

昔から自然の木や石そのものを祭っていた日本の神道が、仏教寺院の影響で社殿を持つようになり、それとの差別化のため自らの様式を確立していくのです。屋根は瓦でなく茅を使い、壁は土壁でなく素木を使う。太古の昔からあると思われているそんな神社の様式は実は決して古くはなく、寺院建築との関係の中で自らのアイデンティティーを確立するために形成されてきたのです。銅版や瓦屋根、塗り壁の神社もその後作られるようになりますが、古くは「日本的」な素朴な自然素材を使っていたのです。

元来、日本の神道の対象は自然にある木や石で、それを神の依り代としてその「場」を敬ってきました。しかし、その「場」を囲う社殿そのものに無垢な自然素材を使い、それに日本人が敬虔な気持ちを抱いてしまうのは、ごく自然な事なのかもしれません。

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