木造の天敵 (6)

ホウ酸塩による木材処理は散布と含浸のふたつの方法があるようです。

つまり、木造の骨組みが出来てから散布する方法と、使用する木材に事前にホウ酸を含浸させる(染み込ませる)方法です。ホウ酸は水溶性のため、雨で簡単に流れてしまうそうですので、表面だけでなくある程度中まで含浸させた木材を使った方が当然良い気がします。ただ、細かい木材など全てにそれを使うのは難しそうですので、なかなか悩ましいところです。

しかし、ホウ酸処理は従来の方法とは違い全てに近い木材を処理するのです。そして、従来と違い、その効果は水で流されない限りずっと続くのです。また、人体に無害ですし、金額もそれ程高くなさそうです。「やはり、ホウ酸がベスト。」そう言いたいところです。ただ、ネット上で色々と (特にシロアリ専門業者さんのブログなど) 見ていると、色々と迷ってしまいます。

「ホウ酸処理をしてもあまり効果がなかった。」「ホウ酸に強いイエシロアリやヤマトシロアリには従来の方法で、定期的に処理する方が良い。」そんな内容のものがいくつも見受けられたのです。「アメリカカンザイシロアリの羽アリが木部に穴を開けて侵入する時、最初は木は食べずに外へ排出するため、毒の効果がないのだろう。」ネット上にはそんな書き込みもありました。ホウ酸は接触毒性がないため、食べて初めて効果が出ます。ですから、一度ホウ酸処理の届かない内部へ侵入してしまうと、もう効かないという事なのでしょう。100パーセント内部までホウ酸を含浸させた木材を100パーセント使う事は不可能に近いでしょう。どちらの方法を採用すべきか、ほんとうに悩んでしまいます。「床下などの再処理可能な所は従来の薬剤で処理し、その他の木材はホウ酸処理するのがベスト。」そんな書き込みもありました。もちろん、それなら効果が一番ありそうですが、コストも掛かりそうです。ほんとうに悩みます.....

つい最近、別のシロアリ処理業者の方が営業に来られました。色々とお話をお聞きしましたが、その業者さんはホウ酸も使うそうなのですが、やはり、それには否定的な見解をお持ちでした。建築設計士は僕も含め、シロアリについては素人です。これからもそんな専門家の意見を聞き、色々調べ、クライアントと相談し悩みながら、その都度その都度、何を使うか決めていくしかなさそうです。

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