てー天窓(2)

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天井からの光、そう聞いて僕が先ず思い浮かべるのはパンテオンのドームに空いた大きな丸い穴からの光です。これは雨も吹き込む単なる穴ですので、厳密には天窓とは言えないかもしれませんが、ここからの光はまさに天井=天上からの光、そんな思いを抱かせてくれます。直径43Mのドームに空いた9Mの穴から降り注ぐ光は、この神殿が生まれたローマ時代から2000年以上も変わらず見る人の心を震わせています。

そんな人を魅了する天井の穴は現代も作られています。それはジェームスタレルが世界各地で作ったアートです。直島の地中美術館にもありますが、その空間に佇んでいると、何故か雑音は消え、時間がゆっくりと流れていくようでした。パンテオンでは空の移ろいを感じることはありませんでしたが、ここでは雲の動きや僅かな光の変化と、それによって静かに移ろう空間を感じることができました。ただ不思議なことに、その外界の自然によって生じる空間の変化は何故か非現実的であり、機械によって作られた映像のような虚構性を感じてしまうのです。パンテオンで感じた圧倒的な迫力とリアリティとは真逆の儚い表層的な虚構性です。「あの空間にはリアルな影がなかった。」そんな気がしてなりません。

神々しさとともにリアルな3次元空間を感じさせるパンテオンの穴、非現実的で表層的な光を感じさせるタレルの穴、同じ天井の穴でも僕はまったく違った印象を受けたのです。

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