「階段」で僕が一番多く使うのは鉄砲階段です。
鉄砲階段とは途中に踊り場を設けて曲げたりせず、上階と下階を真っすぐに結ぶ直階段のことで、僕はこれが一番階段らしい階段と思っています。有名なサンピエトロ寺院のスカラレジアも直階段ですが、上へ行くほど階段空間が狭まり下からの奥行き感をより深く感じさせ、上層に何か高貴な世界を感じさせます。神社への階段、絞首刑台への階段等、何か別の世界へと導くような象徴的な階段は真っすぐな鉄砲階段が一番似合っていると思います。それは下界から上界へと続く接続口であり、此岸から彼岸へと続く結界でもあります。そんな象徴性を感じさせるため、僕はこの「階段」に一番魅力を感じてしまうのでしょう。
自邸の階段、それを模したMM邸の階段、そして宅内に三つも取り入れたSY2邸の階段、これらは僕が設計した中での、その極めつけです。
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