木造の天敵 (1)2015.08.25

「シロアリについてお話します。」そう書きましたので、ちょっと間が空きましたが、知っている事を少し書いてみたいと思います。

白蟻による食害は木造にとって脅威ですが、食害を起こす主な白蟻のうちヤマトシロアリは北海道の一部を除く日本全国に生息しています。特に怖いと言われるイエシロアリは西日本より南にしかいませんでしたが、最近は温暖化の影響でしょうか、東京など東日本の一部でも見られるそうです。

木造を新築する時、地上1mまでの木部を防蟻処理するのは昔から常識でした。水分を多く必要とするヤマトシロアリやイエシロアリは土からあまり離れられないと考えられるため、地上1mまでの処理を行うのです。浴室部分の基礎を高くするのもひとつにはその理由もあります。ただ、近年環境への影響を考え処理用の薬剤の毒性が弱まり、昔は10年続いた薬剤の効果が今は5年程度と言われています。まあ、5年であれ10年であれ、その後は常にシロアリの恐怖に曝されるわけです。

以前、「ハネアリが出た。」と昔僕が建てた家の方から連絡があり、シロアリ駆除業者を紹介した事があります。僕も同行して調査した結果、構造部は無傷でしたが、玄関の木部のごく一部がシロアリにやられていました。「念のため、薬剤散布などの防蟻処理をお願いします。今後5年に一度は同様の処理をお願いしようと思っています。」虫を極端に嫌う奥さんがそう話されました。まあ、虫が好きでも、シロアリが出れば誰でも気持ち悪いでしょうが.....

TO

 

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お盆2015.08.14

毎年のお盆休みは主人の実家へ帰省しますが、今年はお盆休み前に帰省したため、今年は私の実家のお墓参りに同行して来ました。

お参り前にお墓やお仏壇の御供えにおはぎを息子、私、母、叔母の4人でこしらえました。息子は泥遊びの要領で楽しく取り組んでいます。ご先祖様も美味しいと仰ってくださるね。そんな事を話ながら近しい人とのひとときを過ごしました。

YO

建物の寿命 (6)2015.08.04

木造の構造的な限界年数も、もちろん、はっきりとした事を言う事はできません。1300年の法隆寺は別格としても、日本には多くの古い木造建築が今なお生き続けています。ただ、現代の木造建築がそれらと同様に長持ちするのかは、ちょっと疑問です。

木造の構造的な限界を決定付けるのも、やはり水分です。これによって木は腐り、その強度を落としていくのです。これを遠ざけ、理想的な乾燥状態を保てば、木は半永久的に生き続けるかもしれません。

 適度な水分、温度、酸素があれば、木は腐朽菌に侵されてしまいますが、これらのうちひとつでも取り除いてやれば、木は腐りません。昔から木場などで木を水中で保管するのは酸素を絶つためです。水に浸ければ木は腐ってしまいそうですが、完全に水中に没していれば適度な酸素がないため腐朽菌が繁殖せず、木はいつまでもその美しい姿を保つ事ができるのです。しかし、実際の住宅では木を水にずっぽりと浸けておく事等不可能ですので、逆に水分を減らす事が木を長持ちさせるのに一番有効な方法となるのです。ここでいう水分とは雨水と湿度の事です。雨水を防ぐのは当然ですが、現代では防湿フィルム、透湿防水フィルム、通気層等で壁内の湿度を下げる事は常識となっています。それらによって木材を乾燥させ、長持ちさせようとしているのです。

ただ、古い木造建築にはそんなものはありませんでした。雨水を防ぐ深い軒、柱や梁などの骨組みをそのまま表に現す真壁工法、調湿性の高い土壁、これらがそれに代わり水分から木を守り、永い命を与えていたのです。そして、現存する多くの古い建物はその柱や梁等が現代のものよりもずっと太かった事も、それが生き永らえた大きな要因だったと思われます。構造的に余力があれば、多少部分的に腐ったとしても十分な強度が確保されていたのでしょう。

経済性のため柱を細くし、それを隠し、透湿層などの新しい工法で壁内の湿度を調整する現代の建物が、今後どれだけ生き延びる事ができるのかはわかりません。ただ、その中から第二の法隆寺が生まれる事はもうないのかもしれません。

ところで、雨水を防ぎ湿度を抑える事は、もうひとつの木造の天敵シロアリにも有効です。この厄介な小さなゴキブリについては、また今度お話したいと思います。

TO

一級建築士事務所 内川建築設計室 岐阜・愛知・三重を中心に夫婦で建築設計事務所を営んでいます。